Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】イバン・ラキティッチの進化が止まらない。万能MFの凄さを語る 後編

こんにちは!ラキティッチの記事、後編です。前編ではルイス・エンリケ監督指揮下のラキティッチの重要性、さらに彼の長所について書きました。

www.footballhikota.com

 ↑前編はこちらから!

 

 

それでは後編、行ってみましょー!

 

 

▪️バルベルデバルサの心臓

1つ興味深いデータがあります。データサイト『Whoscored』を眺めていると、バルベルデバルサを象徴するような以下の数字がありました。

FCバルセロナ、13-14シーズンから18-19シーズン(リーガ)の90分当たりのパス本数トップのMF

13-14(マルティーノ) シャビ 102本

14-15(ルイス・エンリケ) シャビ 90本

15-16(ルイス・エンリケ) ブスケツ 75本

16-17(ルイス・エンリケイニエスタ 76本

17-18(バルベルデ) ラキティッチ 79本

18-19(バルベルデ) ラキティッチ 85本 

※今シーズン33節終了時点

※極端に出場機会の少ない選手は省いています。

まず目につくのは13-14シーズンと比べた14-15シーズンのシャビのパス本数激減ですね。ルイス・エンリケの就任でスタイルが変わった影響がモロに出ています。シャビが退団した2015年以降2シーズンはブスケツイニエスタカンテラ出身の2人が1位でしたが、バルベルデが監督を務めているこの2シーズンはラキティッチが最も多くパスを出した選手になっています。

これ凄いデータですよね。ブスケツやアルトゥールのイメージが強い方が多いかと思いますが、バルベルデバルサで最もボールに絡んでいるのはラキティッチと言えるのかもしれませんね。この数字が全てを物語ってくれるわけではありませんが、バルベルデラキティッチを中盤のキープレーヤーとして据えていることを示す1つのデータだと思います。

https://www.whoscored.com/

↑データとか見るの好きな人、オススメですよ!

 

▪️ピボーテという新たなタスク

前編で紹介したように、ルイス・エンリケ監督時代のバルサでは右インテリオールを務めていたラキティッチ。メッシをサポートし、カバーするのが主なタスクでした。このタスクが必要になったのは、メッシの右ウイングへの移行によるものだということはお伝えしてきました。

2017年にバルセロナの監督に就任したバルベルデは、チームのバランスを保つためにシステムの変更を決断します。伝統の4-3-3からオーソドックスな4-4-2へ。この変更の意図は過去のバルベルデの記事で書いていますので、読んでいない方は是非こちらへ↓

hikotafootball.hatenablog.com

 

この変更に伴い、ラキティッチのポジションはダブルボランチの一角、セルヒオ・ブスケツの横に移りました。このポジション変更がラキティッチのプレーの幅を大きく広がることになりました。

エンリケ時代はどちらかと言えば、「動的」なディフェンスが多かったラキティッチ。例えば、ボールロスト後プレスの先鋒になったり、果敢にインターセプトを狙ったりとボールを奪いにいく機会がポジション的にもタスク的にも多く与えられていました。

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アンカーの両脇

しかしピボーテ(ボランチ)に移ってからというもの、「静的」なディフェンスを披露する機会が多くなりました。上図で示した通り、4-3-3における、機動力のないブスケツの両脇のスペースは今までのバルサの大きな構造的弱点になっていました。

その一方、バルベルデが採用した中盤フラットの4-4-2では、中盤センターに2人が入っているため、ボールは非保持時にバイタルエリアを2人が常に監視している状況になりますから、特にリトリート時の守備強度は非常に高くなりました。

ラキティッチはそのポジションセンスに加えて、フィジカル的な強さも持っていますので、ブスケツの守備時の負担はエンリケ時代に比べると格段に緩和されたように思われます。

さらに、ラキティッチは攻撃面においても、一列位置が下がったことでよりビルドアップに深く関わるようになりました。多くのチームがバルサのキーマンであるブスケツを消してきます。そのような対策が講じられた時は大抵ラキティッチがビルドアップの中心となってボールを前に運びます。

よくラキティッチが縦にパスを出さない、という趣旨の動画をTwitterで目にしますが、それはあくまで彼がタスクをわきまえているからこそだと個人的には考えています。当然、右インサイドハーフとダブルボランチの一角では求められるプレーも変わってきますしね。こちらが出せる!と思ったタイミングでもラキティッチからするとリスクの高いパスだったりすることもあるかと思います。特に低い位置ではこれまで以上に慎重にプレーしている印象があります。

バルベルデが就任してから、エンリケ時代に見せていたような2列目から飛び出しや強烈なミドルシュートは減少したかわりに、チーム全体を見渡してオーガナイズする役割を積極的にになっているように映ります。何か中盤の選手として円熟味が増したというか。本当に聡明な選手だなとつくづく思います。

 

▪️バルサがようやく見つけたブスケツの「同い年の代役」

1年目の4-4-2は上手くチームにフィットしていたものの、ファンからの非難、さらにはCLでの屈辱的な敗北により4-3-3への回帰を決断したバルベルデラキティッチは再び、右インサイドハーフにポジションを戻しました。ポジションが戻っても安定したプレーぶりを見せつけるラキティッチは、今シーズンブスケツの代わりにアンカーを務めることも何度かありました。

アンカーと言えば、この10年ブスケツの聖域でした。ヤヤ・トゥーレハビエル・マスチェラーノ、アレキサンドル・ソング、アンドレ・ゴメスといった世界屈指の名手たちが代役にすらならないほど高かったブスケツの壁。そのタスクを少しずつ担えるようになってきたラキティッチの成長は正直眼を見張るものがあります。10年かかってようやくブスケツの代役が見つかりましたね。まあ同い年なんですが笑。

フランクフルトの長谷部誠も示しているように、いくつになっても選手は進化できるかと思いますが、その成長には並々ならぬ努力があるのだと思います。ラキティッチが辿りづいた境地は決して並の選手が到達できるものではありません。

チームとして30歳を越えたブスケツを休ませることができるのは非常に大きいですね。ウエスカ戦ではビダルがアンカーを務めていましたが、やはり誰でもできるポジションではないのでラキティッチの貢献度は計り知れません。

 

■フレンキ―獲得とラキティッチの去就は無関係?

バルサは来夏、アヤックスのフレンキ―・デ・ヨングが加入することが決定しています。控えめに言ってこの男は超逸材です。技術やセンスはもちろんのこと、21歳にしてCLという大舞台で、レアル・マドリーユベントスといったメガクラブを相手に物おじしないメンタリティは特筆に値します。正直、ここまでの選手だとは思っていませんでした。

そのため、盛んにラキティッチ放出説が出ていますね。バルサは膨れ上がった選手たちの年俸で財政が圧迫されており、今夏さらに補強するのであれば主力選手の放出が不可避であるとの記事も出ていました。高値で売れそうな選手の筆頭がラキティッチというわけで、フレンキ―の獲得にも成功したため放出を推奨する声も少なくありません。

しかし、個人的にはフレンキ―が加入するからと言って、ラキティッチの放出を決断するのはあまりに早計すぎると考えています。フレンキ―の今シーズンの活躍は素晴らしいの一言ですが、「ビッグクラブ相手に活躍する」と「ビッグクラブの一員として活躍する」は別物であることは頭に入れておかなければなりません。フレンキ―が1年目からラキティッチと同等、もしくはそれ以上のパフォーマンスを披露できる保証はどこにもありません。

恐らく、フレンキ―の来シーズンの競争相手は主にアルトゥールになるのではないでしょうか。ラキティッチはこれまで通りレギュラーで起用すべきだと個人的には考えています。これまで見たように、彼の存在はバルベルデバルサにとって不可欠です。ブスケツの代役が務められるのもラキティッチを残すべき大きな要因の一つです。フレンキ―、アルトゥール、そしてアレニャは超が付くほどの逸材ですが、それでも現段階ではラキティッチに見劣りします。もしラキティッチを放出するとしても早くとも2020年の夏まで待つべきではないでしょうか。

フレンキ―やアルトゥールが独り立ちできるようになった時、その時、ラキティッチバルサを出ていくことになるでしょう。そして、今はまだその時ではありません。

 

いかがだったでしょうか。実は最後のラキティッチは放出すべきではないって主張がしたくてこの記事を書いたようなものです笑。まあ色んな意見があっていいと思いますが、少なくとも、バルベルデラキティッチを手放すとは思えません(フロントの独断、はあるかな…)。これだけ、外様の選手でバルサへの忠誠心が強い選手も珍しいですよね。実はこの記事の前編が過去最高の反響をいただきました。僕の記事の出来はともかくとしてバルサファンの非常に熱いラキティッチへの愛を感じずにはいられませんでした笑。個人的にも大好きな選手ですし、是非来シーズンもバルサに残って欲しいですね!

 

最後までお読みいただきありがとうございました。